4月28日

僕は北海道から東京に移住する際、決めていた事がある。
それは、絶対にラーメン屋“ふるき”の事を他言すまい、という事だ。
この店のラーメンは最高に美味しい。
大して立地も良くないのに、今では旭川異例の行列が出来るラーメン屋となっている。
しかし、雑誌やテレビで見掛ける事もない、最後の秘境となってもおり、だからこそ東京に広めてはいけないと思っていた。
僕は15年前の中学生の頃に、このラーメン屋が全国区の味であると信じ、ふるき最強説を唱えていたのだが、当時の同級生や大人達には全く相手にされなかった。
今と味は変わらないにも関わらず、その頃は普通のラーメン屋だった事を歯がゆく感じていた。
そして僕が高校生になっても、ふるき最強説は無視され続け、相変わらず集客は普通だった。
しかし、僕が大学生になり、地元を離れた辺りから次第に火が付き、たまに帰ると行列が出来る様になっていたのでビックリ。
そして本日、４年ぶりにふるきを訪れた際、既にこの店は有名人のサインだらけになっていた。
旭山動物園の影響だろうが、妻〇木聡や戸田恵〇香など、メジャー所のサインが数十点ひしめいていた。
何日も前から並んでいて、僕だけドラクエ買えなかった気分。
これだけ愛情を注ぎ込み、別に何か見返りを求めていた訳ではなかったが、本当に何もありはしなかった。
美味しいのに複雑な心境でラーメンを頂く。
きっと最後の晩餐って、こんな感じなんだろうなぁと、ふと思った。