入澤です。今回はちょっとしたハートフルストーリーをお届けします。

駅の駐輪場でのこと。自転車を押して出口に向かう途中、初老の女性に道を譲ってもらった。
「すいません」
軽く礼を述べると、
「いいえぇ」
という声が笑顔と共に返ってきた。こちらまで笑顔になるような、心温まる一瞬だった。


他人との触れ合いが稀薄になりつつある昨今、「すいません」の一言もないことが多い。そんな中で「どうぞお気になさらずに」という意味合いの言葉を返せる人はどれだけいるのだろう。少なくとも自分は言ったことがない。言われたことも皆無に等しいだろう。

「いえいえ」。たったこれだけなのに口に出せない。何だかとても照れ臭い。返事をすることで「会話」として成り立つからだろうか。見知らぬ他人と言葉を交わす、難しいことだ。

ところがウチの相方・スネーク野田は、この「いえいえ」を言える人間なのだ。素直にすごいことだと思う。こんなブログで相方を誉めるのは気持ち悪いと映るかもしれない。しかしながらこれは純然たる事実なのだ。これに関しては、唯一(？)彼の尊敬できる点である。

今すぐ、というのは無理だと思う。意識して口にすると、それは単なる音に成り下がるからだ。だけどいつでも心に留めておきたい。自らの内から自然と出るような「いえいえ」。いつの日か、きっと。